目次
ニキビとは?ニキビのメカニズム解説

ニキビといえば、多くの人が経験する肌悩みとして知られています。10代前半から発症が始まり、30代・40代になってからも、ニキビに悩まされる人は尽きません。
なぜ、多くの人がニキビに悩むのでしょうか?実は、私たちの生活習慣の中に、ニキビ発生の原因が隠されているのです。

- 皮脂や汚れが、毛穴に詰まる
- 毛穴の中で皮脂がたまり、アクネ菌が繁殖する
- アクネ菌がリパーゼという酵素を作り、皮脂を分解する
- 分解された皮脂から遊離脂肪酸が発生し、炎症ができる

毛穴が詰まる原因は何?
毛穴が詰まる原因は、主に3つです。
1つ目は、皮脂の過剰分泌。適度な皮脂は乾燥から肌を守ってくれますが、多すぎる皮脂は角質層を厚くして角栓を作ります。角栓は、皮脂と角質がまざって毛穴に詰まると発生します。皮脂が多い肌はアクネ菌の餌が増えている状態なので、ニキビができやすくなりますね。
2つ目は、ターンオーバーの乱れです。健康な肌は、一定の周期(約28日)で生まれ変わるのですが、ストレスが溜まっていたり、乾燥が進んでいたりすると、ターンオーバーが乱れてしまいます。結果、剥がれ落ちるはずの古い角質がそのまま残ってしまう上に、汚れもたまりやすくなります。
3つ目は、乾燥です。乾燥した肌は固く、ごわごわした手触りになっています。毛穴周りの皮膚が固くなると、肌にでこぼこが発生して汚れや角質がたまります。角質がたまれば角栓の発生につながり、ニキビができやすい環境になるのです。
アクネ菌って何?
アクネ菌は、もともと人の肌にいる常在菌です。酸素を嫌う性質があり、肌に異常がなければ害を及ぼしません。ただし、餌となる皮脂が増えると活動が盛んになって増殖します。
アクネ菌は本来、肌を弱酸性に保つ働きを持っています。アクネ菌が本来の働きを保てる肌にすることが、ニキビ予防につながりますね。
遊離脂肪酸って何?
アクネ菌が皮脂を分解したときに発生するもので、角質を厚くする働きを持っています。また、酸化すると炎症につながるので注意が必要な物質です。皮脂が分泌されたときには、グリセリンが一緒に分泌されます。化粧品にもよく使われている、保湿成分としておなじみですね。

思春期ニキビができるメカニズム

【原因】成長ホルモンの急激な増加
成長ホルモンとは、文字通り体の成長を促すホルモンです。身長が伸びる・筋肉が発達するといった見た面の変化以外にも、代謝を促す働きを持っている大事なホルモンなのです。ターンオーバーの周期にも、成長ホルモンが関係していますね。
成長ホルモンは10代に入ると急激に増加し、20歳ごろになると減っていきます。25歳ごろになると、男女ともにピークの半数ぐらいまで減少。以降の年齢では、徐々に分泌量が減っていきます。
思春期は、ホルモンバランスの変化に伴い、体つきも大きく変化する時期でもあります。男性なら筋肉質、女性なら丸みを帯びた体が作られていきますね。実は、思春期に分泌量が増すホルモンにの中に、皮脂の分泌を促すものがあるのです。
それは、男性ホルモンに含まれるアンドロゲンと、女性ホルモンに含まれるプロゲステロンです。こうした性ホルモンは、思春期以降の大人ニキビにも、大きく影響を及ぼしているのです。



【特徴】二次成長期に現れる
女子なら7歳~10歳、男子なら9歳~12歳ごろが、二次成長開始の目安とされています。この年代になると、ニキビができる人が増えてきます。思春期ニキビは10代から始まり、20歳~25歳ごろにピークを迎えた後、徐々に減少していくと言われます。
思春期はまだ本格的なスキンケアを初めていない人が多く、皮脂の分泌以外にも、乾燥が関わっていることもあります。部活動で激しい運動をする人は、毛穴に汚れがたまりやすい傾向がありますね。
【場所】皮脂の多い鼻やTゾーン
思春期ニキビの大半は、おでこにできます。人によっては、鼻にできることもありますね。額から鼻にかけては「Tゾーン」と呼ばれることもあり、思春期ニキビができやすい場所と言われています。
Tゾーンは顔の中でも皮脂分泌が多い場所なので、アクネ菌が繁殖しやすいでのす。他にも、シャンプーやリンスのすすぎ残しや、前髪の刺激でニキビが悪化するケースも珍しくありません。
【治療】炎症を起こすと治療が必要
思春期ニキビは、軽度であれば自然と治ります。成長ホルモンの分泌が落ち着いて、急激な皮脂分泌が治まるからですね。しかし、炎症を起こすと治療が必要になり、重度の炎症まで進行すると跡が残ります。
炎症が発生したニキビは、表面が赤く盛り上がって見えるのが特徴です。ニキビの状態をチェックして、炎症が起きる前にケアを行いましょう。市販のニキビ薬を塗って炎症を抑えると同時に、保湿ケアを念入りに行ってください。炎症の中に膿ができるなど、重症化したときは皮膚科で治療を受けましょう。


大人ニキビが残るメカニズム

思春期を過ぎてからも頻繁にニキビができているときは、大人ニキビが発生している可能性が高いです。大人ニキビは、思春期ニキビよりも原因が複雑で、再発が多く見られます。
【原因】不規則生活による毛穴詰まり
不規則な生活は、大人ニキビの温床です。睡眠・食事・運動不足など、日々の生活習慣の乱れから毛穴詰まりが発生し、アクネ菌が繁殖するのです。
思春期ニキビで毛穴詰まりができるのは、皮脂の過剰分泌が主な原因でした。ところが、大人ニキビになると、乾燥による毛穴詰まりが増えてきます。いったい何が、毛穴詰まりを起こしているのでしょうか?
1:間違ったスキンケア
スキンケアの中でも、大人ニキビにつながりやすいのは洗顔です。1日に2回以上洗顔をしたり、強く肌をこすって洗顔をすると、うるおい保持に必要な分の皮脂まで落としてしまいます。
特に注意が必要なのは、インナードライ肌の人。Tゾーンなど、皮脂分泌量が多い部分だけテカリがあって、他の部分は乾燥している状態です。テカリにばかり目が行ってしまい、乾燥肌と思い込みがちですが、本当は皮脂が不足して乾燥しているだけ。
にもかかわらず、皮脂を落そうと余計に洗ってしまうので、乾燥が進むのです。部分的にテカリが出ているのは、不足した皮脂を補おうと過剰に皮脂が分泌されているから。乾燥肌やインナードライ肌の方は、保湿と一緒に油分を補うケアを行いましょう。
2:食生活
いつも油の多い食事ばかりとっている人・炭水化物や甘いものばかり食べている人は、大人ニキビができやすい傾向にあります。脂質はもちろん、糖質の過剰摂取も、皮脂の量を増やすので気を付けてください!
糖質は体を動かすエネルギーである反面、必要以上にとると脂肪として蓄積されます。糖質を取りすぎた体は、血糖値の上昇と皮脂の過剰分泌が進み、アクネ菌の繁殖へ繋がります。最近ニキビが増えてきたかな?と思ったら、普段の食事を見直してみましょう。
3:ストレス
ストレスには、肉体のストレスと精神のストレスがあります。仕事や運動で体を動かすと肉体のストレスが、人間関係など悩み事を抱えていると、精神のストレスが溜まっていきます。
ストレスがたまった状態が続くと、ターンオーバーが乱れてしまいます。古い角質が残り、角栓ができやすい肌になってニキビが発生するのです。また、ストレスがたまると男性ホルモンの分泌量が増え、皮脂分泌も促進されます。
男性ホルモンが優位になる原因は、アロマターゼという酵素が減少するためです。アロマターゼは表皮細胞の中にあり、男性ホルモンを女性ホルモンに変換する働きを持っています。
クラシエホールディングス株式会社の研究によると、ストレスを受けるとアロマターゼの活動が減少し、女性ホルモンに変換されにくくなることが判明しました。
男性ホルモンが増えすぎた状態が続くと、体毛が濃くなる場合もあります。ムダ毛が濃くなってきたと感じたら、ストレスが溜まっているのかもしれませんね。
4:睡眠不足
睡眠不足は、ストレスの増加やターンオーバーの乱れにつながります。さらに深刻なのは、成長ホルモンの分泌が減ってしまうことです。
成長ホルモンは、筋肉や骨を成長させる以外にも、肌の修復機能を担っています。ニキビを含めた肌トラブルは、本来成長ホルモンが修復してくれるもの。しかし、睡眠時間が不足していると、肌の修復機能も低下してしまうのです。
ニキビ跡が残りやすくなる・炎症が治まらないといったトラブルにも発展しますから、日ごろから一定の睡眠時間を確保するように心がけてください。
5:紫外線
紫外線は、ニキビの炎症を悪化させる元です。更に、皮脂の酸化も早めるので、念入りに対策を行いましょう。
強い紫外線を浴びると、肌のバリア機能が壊れて乾燥が進みます。潤いを逃がさないために過剰な皮脂分泌が進むほか、角質が厚くなる弊害も出てきます。
夏はもちろん、1年を通して日焼け止めを使い、紫外線を防ぎましょう。

季節 | 場面 | SPF | PA |
---|---|---|---|
季節問わず | 短時間の外出(買い物・散歩など) | 10~20 | + |
季節問わず | 長時間の屋外運動など | 20~30 | ++ |
6月~8月 | 炎天下での外出 | 30~50 | +++ |
7月・8月 | 海・プール、野外フェスなど、長時間の外出 | 50または50+ | +++または++++ |


6:乾燥
顔の中でも特に乾燥しやすいのが、あごやフェイスラインです。皮脂が少ないので角質が固くなり、毛穴に詰まってニキビができやすいのです。空気が乾燥しているときは、保湿を念入りに行ってください。
また、日ごろからあごを触る癖がある人は要注意です。手についた汚れが毛穴に入り込み、ニキビができやすくなります。スキンケアの時以外は、あごに触らないようにしましょう。
7:生理周期(ホルモン)
女性の場合は、生理周期によってニキビができやすくなる時期があります。それは、黄体ホルモン(プロゲステロン)が増える生理前。特に生理の2週間~1週間前からは、黄体ホルモンの影響でニキビができやすくなります。
黄体ホルモンが増えると、皮脂の分泌が進むほか、便秘やむくみによって老廃物がたまりやすくななります。また、生理前はイライラや不安が増したり、腰痛が強くなることもあります。
PMS(月経前症候群)と呼ばれるもので、黄体ホルモンが影響していると考えられています。婦人科や心療内科で治療ができるので、症状が重い人は相談してみると良いでしょう。
8:喫煙や飲酒
お酒をたくさん飲む人やタバコを吸う人も、ニキビができやすい傾向にあります。飲酒の場合、多量のアルコールを分解するためにビタミンB群が消費されます。
ビタミンB群は、肌を健康に保つ・古い角質を落しやすくするなど、美肌に欠かせない役割を担う栄養素なのです。不足すれば、ニキビを含めたさまざまな肌トラブルのもとになります。肝臓にも大きな負担がかかりますから、お酒の飲みすぎは厳禁と心得ましょう。
喫煙の場合は、ニコチンによって血行が悪化し、ターンオーバーの乱れが起きます。体内では活性酸素が発生し、炎症や皮脂の過剰分泌という形で肌に現れますね。炎症を鎮めるためにビタミンB群も使われてしまうため、肌のコンディションも悪化。美肌のためには、禁煙がベストです。
9:外的刺激
外的刺激を受けやすいのは、額とあごです。例えば、前髪がニキビに触れて炎症が悪化したり、あごに残ったメイクが毛穴に詰まったりすることが考えられますね。
普段の生活の中で、顔に直接触れるものは清潔にしていますか?化粧に使うスポンンジやブラシ、シーツや枕カバー、タオルなど。汚れが溜まったまま使用していれば、肌の上で雑菌が増殖し、バリア機能が低下します。
顔に直接触れるものは、常に清潔なものを使ってくださいね。


【特徴】思春期ニキビより、要因が複雑
思春期ニキビの原因は、皮脂の過剰分泌がほとんどです。一方、大人ニキビは乾燥・ターンオーバーの乱れ・外的刺激など、あらゆる場面に要因が潜んでいます。
複数の要因が集まってニキビを作っていることも、珍しくありません。原因が特定しにくい分再発率も高く、ニキビ跡が残りやすいのも、大人ニキビの特徴です。
【場所】皮脂の少ないUゾーン
あご・フェイスラインなど、Uゾーンと呼ばれる部分にできやすいのも、大人ニキビの特徴です。これは、冷え性やホルモンバランスの乱れ、胃腸の不調といった体の悩みも関係していると言われています。

- 額→大腸や小腸の不調
- こめかみ→肝臓の不調、ストレス
- 鼻→肝臓・肺・大腸の不調
- 頬→呼吸器の不調・下半身の冷え・胃腸・肝臓の不調
- あご→ホルモンバランスの乱れ・冷え性
- 口の周り→ビタミン不足・胃腸の不調
- 首・デコルテ→新陳代謝の低下・ストレス・ホルモンバランスの乱れ
- 背中→肩こり
【治療】ニキビに合わせた適切ケア
ニキビは早期発見・早期治療が肝心です。初期段階なら、市販のニキビ薬で炎症を抑えましょう。並行して生活習慣を整えたり、洗顔やスキンケアを見直すのも大切です。
セルフケアでもニキビが改善しない場合、何度も繰り返しできる場合は、皮膚科(または美容皮膚科)での治療も検討してください。一部の治療では、医療保険が適応されます。
ニキビの5つの種類

ニキビは状態によって5つの種類に分かれます。それぞれの特徴を抑えて、悪化する前に対処してください。重症化すると跡が残ってしまいます。

危険度1:白ニキビ(閉鎖面皰)
この状態は、コメドと呼ばれることもあります。毛穴に詰まった皮脂がある程度固くなり、栓となっている状態なので、発見したら直ちにケアをしましょう。最も確実なのは、コメドを取り除くことですが、無理に力を加えると肌を傷つける恐れがあります。
白ニキビは、ターンオーバーの乱れ・乾燥によって角質が肥大化しているとできやすくなります。スキンケアでは保湿を重点的に心がけ、生活習慣を見直して体調を整えましょう。
危険度2:黒ニキビ(開放面皰)
白ニキビからさらに進行し、毛穴に詰まった皮脂が酸化した状態が、黒ニキビです。この状態になると、炎症が発生するリスクが一気に高くなります。
炎症が起きれば治療に時間がかかりますし、跡が残る場合もあります。だからこそ、白・黒ニキビを発見した段階で必ずケアを始めましょう。
基本的なケアは、白ニキビと同じです。ただし、詰まった皮脂の量は白ニキビよりも多いので、確実に治すなら、病院での治療を受けたほうが良いでしょう。
レーザーや針でニキビに穴をあけ、詰まった皮脂を取りのぞく面皰圧出なら、早く確実に治療ができます。
危険度3:赤ニキビ(赤色丘疹)
黒ニキビを放置すると、アクネ菌が毛穴の中で増殖し、炎症を起こします。これが、赤ニキビと呼ばれる状態です。
白・黒ニキビと違って、痛みやかゆみが現れることもあり、気づいたら炎症を起こしていた!というケースも少なくありません。
赤ニキビまで進行すると、周辺の皮膚組織の破壊が始まって跡が残りやすくなります。ニキビ跡は、肌がでこぼこしているので汚れがたまりやすく、同じ場所に何度もニキビができる場合もあります。色素沈着やクレーターとして肌に跡がつく前に、炎症を鎮めるケアを行いましょう。
セルフケアではニキビ治療薬を塗り、肌を清潔に保つよう心がけます。頻繁にニキビができるなら、皮膚科で治療を受けてください。
青色LEDライトでアクネ菌を殺菌するほか、厚くなった角質を取り除く、ケミカルピーリングなどの治療法があります。他には、投薬・注射によるホルモン療養や、ビタミンB群の点滴、イオン導入などの体質改善も効果的です。
危険度4:黄色ニキビ(膿疱)
赤ニキビの中に黄色い膿ができたら、かなり重症化していると考えてください。皮膚は真皮まで破壊され、炎症が治っても跡が残る可能性が高いです。ここまでくると、セルフケアで治療するのは困難です。必ず皮膚科で治療を受けましょう!
まずは膿を取り除き、炎症を抑えることが先決です。赤ニキビで紹介した方法に加え、ステロイド薬で炎症を抑える方法が用いられる場合があります。
危険度5:紫ニキビ(脳腫)
膿と血が混ざって毛穴に詰まり、紫色に見える状態が、ニキビの最終段階です。紫ニキビは、クレーター型のニキビ跡が残る可能性が非常に高く、発生には婦人系の病気(子宮筋腫・子宮内膜症など)が関係しているとも言われています。
生理痛や冷え性が強く、血行不良の方は特に気を付けてください。ニキビ以外に気になる症状があれば、婦人科を受診しましょう。
紫ニキビの治療も、基本は黄色ニキビ同様、病院で行います。ニキビ治療が終わったら、ニキビ跡へのケアも検討されますね。
レーザーをクレーターに照射し、皮膚の再生化を促す方法がありますが、保険適応外で費用が高額になります。


ニキビは3種類のニキビ跡に分岐

ニキビを放置して重症化させたり、ケアを間違って悪化させたりすると、肌に跡が残ってしまいます。一度できてしまった跡を消すことは、とても難しいです。できれば跡が残る前に、完治させたいですね。ニキビ跡は、見た目に応じて3種類に分かれます。
赤みが残るケロイド状ニキビ跡
同じ場所に何度もニキビができると、免疫が強く働きすぎて、周囲の健康な細胞も破壊してしまいます。毛細血管が傷つき、肌の赤みとして残るのが、ケロイド状ニキビ跡の特徴ですね。このタイプは、肌の奥で炎症が続いていることも考えられます。
炎症を鎮めるためにビタミンB群を取り入れ、保湿を入念に行いましょう。
ターンオーバーを正常に整えれば、跡も目立ちにくくなります。
色素沈着(シミ)のニキビ跡
シミの正体は、排出されずに残ったメラニン色素です。ニキビ跡のシミは、大きく分けると茶色・赤黒い色・紫の3つに分かれますね。このうち、赤黒い色と紫のシミは、毛細血管から出た血液が細胞にしみ込んだものです。
色素沈着のケアは、メラニン色素の排出が最も重要です。美白化粧品を使って、集中ケアを行いましょう。ピーリングで古い角質をはがし、ターンオーバーを早めるケアも効果的ですね。赤黒い色や紫の跡は、時間がたてば酵素の働きで消えます。ニキビ跡に刺激を与えないよう、注意してください。
でこぼこクレーターニキビ跡
重度のニキビができると、肌は真皮まで届いたダメージを埋めようと、コラーゲンを過剰に作り出します。通常のサイクルとは違う流れで生成されたコラーゲンは、肌になじまずにでこぼこ状態になってしまうのです。
クレーターは形によって呼び方が異なり、丸くくぼんだようなローリングタイプ、小さなくぼみが奥深くまで到達したアイスピックタイプ、広くこそげおちたボックスタイプと呼ばれます。
どのタイプでも、セルフケアで完全にへこみを消すのは難しいものです。徹底的にケアをするなら、長期間にわたり保湿を続けましょう。
美容皮膚科などでレーザー治療・ケミカルピーリングを受ける選択肢もありますが、肌が弱い人や、他の部分に炎症がある人は受けられません。
ニキビの芯ができるメカニズム

ニキビには、詰まった皮脂が固まってできる芯が存在します。芯をそのまま放置しておくと、酸化・炎症に進行し、最終的には化膿して肌に大きなダメージを与えるのです。
ニキビの芯ができたら、すぐに取り除きましょう。
ニキビの芯は、毛穴に詰まった角栓
毛穴に詰まった角栓は、別名をコメドといいます。皮脂が過剰分泌され、毛穴から排出しきれなくなったとき、角栓はできやすくなります。
ニキビの芯ができただけの状態なら、セルフケアで取り除くことも可能です。角栓を取り除いて毛穴の炎症を防ぐと同時に、皮脂の過剰分泌を抑える処置をとりましょう。
インナードライ肌なら保湿を念入りに行い、脂ものを多く食べる方は食事の見直しなど。皮脂の過剰分泌を起こしている原因を突き止めて、処置を行ってください。
▼毛穴ケアにおすすめの化粧品をもっと詳しく知りたい人はこちらをCHECK▼
毛穴ケアランキング60選!女子1000人が選んだ黒ずみに効く化粧品
出していい芯と触ってはいけない芯
セルフケアで出していいニキビは、白・黒ニキビの2つです。芯が赤いとき、黄色い膿がたまっているときは、触らずに薬を塗ってください。
また、痛みやかゆみなどの症状があるときも、無理に出してはいけません。ニキビの芯を自分で取り出せるのは、本格的な自覚症状が現れる前と覚えましょう。

芯を出すときの注意
芯を出すときはメイクを落とし、洗顔が完了した状態で行ってください。肌の汚れが残っていると、芯を出した毛穴に汚れが入り込み、炎症が起きる可能性があります。
芯を出すのは入浴後、毛穴が柔らかくなっているときに行いましょう。面皰圧子とピンセットを使って芯を出した後、綿棒でニキビ薬を塗って処置します。薬は抗炎症・抗菌作用があるタイプを選んでください。
道具は必ず清潔な状態で使い、使用後も洗って汚れが付着しないよう注意しましょう。使用前と使用後に、エタノールか熱湯での消毒を忘れずに!
芯の出し方
ニキビの芯は、次の手順で取り出します。
- 面皰圧子の穴の部分が、ニキビ部分と重なるように軽く押し当てる(力を入れすぎず、息を吐きながら5秒程度)
- ゆっくりと離し、再び押し当てる
- 1と2を繰り返す(2.3回程度)
- 出てきた芯を面皰圧子で抑えたまま、ピンセットで取り除く
- 抜いた場所に、綿棒でニキビ薬を塗る
面皰圧子を使っても固くて取り出せないときは、無理に出さずに病院で相談しましょう。アクネプッシャーという機械で、芯を取り出す治療法があります。芯を出した後はホルモン療法に切り替え、皮脂分泌を抑えるケアを行うことが多いですね。
ニキビの芯の対処法
ニキビの芯を取り出さないときは、市販のニキビ薬を塗って対処します。白・黒ニキビに効果がある薬を選びましょう。
並行して、スキンケアや生活習慣に問題がないか見直してください。現在のニキビを治して、再発防止対策を行うまでが、ニキビ治療です。
【場所別】ニキビの原因と治し方

ニキビができる場所が変われば、対策も変える必要が出てきます。もしも、同じ部分に何度もニキビができるならば、正しい対処法が取れていないかもしれません。顔・体のパーツごとに、ニキビの原因と対策を確認しておきましょう。
おでこニキビ
おでこは、外的刺激を受けやすい部分です。シャンプーやリンス、洗顔やメイクのすすぎ残しがあると、ニキビができやすくなります。こめかみや額の生え際などは、特に注意してすすいでください。
また、腸の働きが弱っていても、おでこニキビはできやすいです。便秘解消の食物繊維をはじめ、胃腸の働きを強める乳酸菌を含む発酵食品を中心に、食生活の改善を心がけましょう。
消化を手助けする酵素を含む大根、胃腸を保護するほうれん草やキャベツを組み合わせると、より効果的です。
頬ニキビ
頬は面積が広く、ニキビが目立ちやすい部分です、そのため、ニキビを隠すためにファンデーションを厚塗りし、余計に悪化させてしまうこともあります。ニキビを隠すときには、肌への密着度が低いパウダリータイプを選びましょう。
頬ニキビは、肝臓が弱っているとき・ビタミンが不足しているときにできやすい傾向があります。特に、ビタミンB群が不足している場合が多いので、食事やサプリメントで補いましょう。
肝臓の働きを助けるオルニチンを取り入れると、アルコールを飲んだ後の疲労も緩和できます。オルニチンはシジミなどに多く含まれますが、食品からは少量しかとれません。サプリメントを活用したいですね。
フェイスラインニキビ
あご・フェイスラインは、ホルモンバランスの影響を大きく受ける部位です。女性は、生理前にあごのニキビが増える方も多くいますね。ホルモンバランスの調整を第一に、食事や睡眠を見直しましょう。
男性は髭剃りの時、剃刀やシェーバーを強く当てすぎないよう気を付けてください。何度も刺激を受けると、あごの角質が固くなって毛穴の詰まりが起きます。
あごは顔の中でもターンオーバーが遅い部分なので、ニキビの早期発見が特に重要です。炎症に発展する前にケアを行ってください。普段から保湿・紫外線対策を念入りに行い、予防を心がけましょう。
鼻ニキビ
皮脂が多い部分なので、食生活の影響を強く受けます。脂ものや糖質・炭水化物は取りすぎていませんか?
脂質・糖質の過剰摂取は、腸や肝臓に負担をかけます。お弁当にサラダを足す、お酒のおつまみは漬物や刺身にする、おやつに甘いものを食べすぎないなど、食生活を見直してくださいね。
鼻ニキビは、インナードライ肌の人がなりやすいニキビです。角栓ケアのためにパック・ピーリングをしすぎると、皮脂が過剰に分泌されてしまいます。週1回にとどめておきましょう。
背中ニキビ
背中は皮脂が多く、汗をかきやすい部分です。しかも、顔に比べてケアが届きにくいので発見が遅れがち。治っても跡が残りやすいのです。
予防のためには清潔を保つのが一番。下着や肌着は、通気性の良い素材を選んで蒸れないようにしてください。スポンジやタオルは柔らかいものを選んで、刺激を最小限に抑えましょう。ピーリング効果を持つ石鹸を、手で泡立てて洗っても良いですね。
肩こりの影響でニキビが発生することもあるので、入浴やマッサージで血行を促進しましょう。
大人ニキビのためのニキビ薬

市販のニキビ薬を選ぶなら、自分のニキビにあった薬を選びましょう。直接ニキビに塗る薬以外にも、ニキビができにくい肌を作るスキンケア商品や、ニキビ跡を目立たなくする化粧品を一緒に使うと効果的です。
炎症ニキビには「テラコートリル」

Source: アマゾン
ジョンソンエンドジョンソンから販売されている、市販薬(OTC薬品)です。
6gで1000円(税抜き)と高額ですが、炎症を鎮める成分が2種類配合されています。
うち一つは、ステロイド系のヒドロコルチゾンという成分です。ステロイドは、アレルギー性の炎症を抑える薬として用いられる場合が多いですが、ニキビ治療でも使われることがあります。
炎症・化膿・紫ニキビなど、症状が進行したニキビ治療では、注射でステロイドを投与する治療法もありますね。
ステロイドは、長期利用すると肌に赤みが出たり、皮膚や脂肪が薄くなってへこんだりする副作用があります。敏感肌の人や、過去にステロイド系の薬で何らかの副作用が出た人は、使用を控えてくださいね。
もう一つの成分は、オキシテトラサイクリン塩酸塩といいます。この成分は、アクネ菌の増殖を抑える効果を持っています。
【効能・効果】 化膿を伴う次の諸症:湿疹、皮膚炎、あせも、かぶれ、しもやけ、虫さされ、じんましん、化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎)
Source: ジョンソンエンドジョンソン公式HP
薄いシミ消しに「ケシミンクリーム」

Source: アマゾン
小林製薬から販売されている、美容化粧品です。シミ対策の化粧品である「ケシミンシリーズ」に含まれていて、クリームのほかにも化粧水や乳液、美容液が販売されています。ニキビ跡が薄いシミになって残った場合は、アフターケアとして使うと良いでしょう。
主な成分は、抗酸化作用を持つステアリン酸、血行を良くする酢酸エステルトコフェロール、ビタミンC誘導体となる、L-アスコルビン酸2-グルコシドの3つです。ニキビのアフターケア以外には、シミ対策として使えますね。
効能 メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ。肌あれ。あれ性。あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ。
皮ふをすこやかに保つ。肌を整える。皮ふにうるおいを与える。日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ。肌をひきしめる。
Source: 小林製薬公式HP
トータルケア「プロアクティブ+」

Source: 公式サイト
洗顔・美容液・乳液・クリーム・目元美容液、ボディソープと、充実したアイテムがそろっています。ニキビを繰り返す方や、肌質を変えてニキビを予防したい方に、おすすめのシリーズですね。
保湿成分としてブドウ・アロエ・クワなどの植物エキスを配合し、L-アスコルビン酸2-グルコシドでビタミンCを導入。グリチルリチン酸ジカリウムでニキビ予防と、根本からのケアができます。
一つ注意したいのは、殺菌成分として配合されている、サリチル酸です。この成分は高い殺菌作用・抗炎症作用を持っている反面、刺激が強いのです。副作用として肌の赤み・炎症・痛みが発生する場合もあるので、何か違和感を覚えたら使用を中止してください。

成分名 | 効果 | 注意 |
---|---|---|
アラントイン | 消炎作用 | 肌荒れ防止効果もある |
イソプロピルメチルフェノール | 殺菌・抗菌 | 背中ニキビの原因である「マセラチア菌」にも効果がある |
ビタミンB6誘導体 | 抗炎症・代謝促進 | 保湿効果もある |
パントテン酸 | 代謝促進 | ビタミンB5を、体になじみやすく加工している |
ホホバオイル | 保湿・皮脂分泌抑制 | カンキという植物の種から抽出している |
大豆エキス | 保湿・皮脂分泌抑制 | 女性ホルモン「エストロゲン」と同じ働きを持つ |
思春期・大人ニキビ共通のニキビ予防

思春期・大人ニキビは、どちらも同じ方法で予防できます。ポイントは、スキンケアと生活習慣の改善。美肌を目指して、早速始めましょう!
清潔第一
ニキビができない肌は、健康で清潔な肌です。汗や過剰な皮脂、メイク等の汚れが残らないように、朝と夜の洗顔を必ず行いましょう。朝の洗顔は軽く・夜の洗顔は念入りに、メリハリをつけてください。洗顔→化粧水→美容液(あれば)→乳液の順で、スキンケアを正しく行うのも大事です。
メイクをしたときは、ミルクタイプのクレンジングで先にメイクを落としてください。オイルクレンジングは洗浄力が強く、必要な皮脂まで落としてしまうため、避けたほうが良いでしょう。
洗顔料を含め、スキンケア用品をノンコメドジェニック(ニキビができにくい成分で作られている化粧品)で統一すれば、ニキビ予防効果も高められます。

ぐっすり睡眠
睡眠で大切なのは、時間よりも質です。就寝時は、すぐに寝付ける環境を作ってください。寝る前にカフェインやアルコールを飲まない、パソコンやスマートフォンなど光の刺激を避けるなどの対策を行いましょう。
睡眠不足は、ターンオーバーの乱れを招きます。肌を修復する成長ホルモンの分泌が進まず、肌の状態が悪くなります。肌のゴールデンタイムと呼ばれる、夜10時から翌深夜2時までの間に眠れるように生活リズムを整えてください。
食生活改善
ニキビができやすくなる糖質・炭水化物・脂質の量を控え、肌のコンディションを整える栄養を積極的に取り入れましょう。次の栄養を、特に重視してください。各栄養素を多く含む食べ物も、一緒に紹介します。
- ビタミンB2:肌を健康に保つ(うなぎ、レバー、卵、納豆、緑黄色野菜、卵など)
- ビタミンB6:免疫力を上げる(マグロ、カツオ、イワシ、レバー、豚もも肉など)
- ビタミンA:古い角質が落ちやすくなる(レバー、卵、うなぎ、緑黄色野菜など)
- ビタミンC:コラーゲンの生成を促し、ターンオーバーを整える(果物、ジャガイモ、キャベツなど)
- ビタミンE:抗酸化作用(ナッツ類、オリーブオイルなど)
- 亜鉛:代謝を上げる(牛肉、牡蠣、うなぎなど)
- タンパク質:肌の組織を作る(卵、乳製品、大豆製品、肉・魚など)
- イソフラボン:女性ホルモンの「エストロゲン」と似た働きを持ち、皮脂の分泌を抑える(大豆製品)

適度な運動
ウォーキング、ストレッチなどの軽い運動を取り入れて、新陳代謝をアップさせます。1回につき20~30分程度、週に2.3回が目安ですね。
まとまった時間を確保するのが難しい方は、通勤・退勤中など「すきま時間」を使ってできる運動を行ってみましょう。軽い運動はストレス解消にもつながります。
運動して汗をかいたら、必ずふき取って清潔にしてください。屋外で運動するときは、日焼け止めなどの紫外線対策もお忘れなく。
潰すのは厳禁
ニキビとを潰すと、その箇所に刺激が加わって肌を傷つけてしまいます。肌の奥を傷つけ、シミやクレーターとなって残る可能性が高いので、気になっても潰してはいけません。膿や内出血があるときは特に注意が必要です。
潰した衝撃で皮膚に細菌が広がり、ニキビが拡大する恐れがありますからね。誤ってニキビを潰してしまった場合は、ぬるま湯で洗顔料を泡立てて優しく洗ってください。水気をふき取ったら、ニキビ薬を塗ってケアをしましょう。

▼おすすめのニキビケア化粧品をもっと知りたい人はこちらもチェック!
ニキビケア化粧品ランキング16選!大人・思春期ニキビを治す方法
一番大事なのは、ニキビを作らないこと

ニキビを作らないためには、何がニキビのリスクにつながっているかを知りましょう。思春期ニキビのように、年齢に伴う体の変化なのか。
大人ニキビのように、生活習慣に問題があるのか。
それぞれの原因をつきとめて、していきたいですね。
