麻疹は予防接種で感染対策を!大人に出る症状には合併症の可能性も

麻疹は予防接種で感染対策を!大人に出る症状には合併症の可能性も

麻疹(はしか)で死亡することもあるのを知っていますか?しかし予防接種によって感染は防げるのです。ただし1度だけではなく2度接種することがとても大事!自分のためだけではなく、周りの人やあなたの大事な人を守るためにも正しい知識を持ちましょう!

麻疹流行の可能性に備えよう

麻疹(ましん)とは、はしかの事です。「はしか?一度はかかることがある病気でしょ」と軽く考えていませんか?決して子供の病気ではありません。大人の場合は重症化することが多いという厄介な病気なのです。

麻疹はインフルエンザの10倍の感染力100倍の致死率を持つと言われ、死ぬこともある恐ろしい病気です。しかしウィルス病のため、治療薬はありません。

近年、この麻疹が猛威をふるい、各地で感染者が確認されています。2016年には千葉の幕張メッセで行われたコンサートに麻疹患者の男性が参加したことにより多くの人が感染。さらにこの男性はコンサート前に関西空港を利用しており、関西空港周辺でも集団感染が確認されました。

2017年に入ってもその勢いは止まりません。三重と山形で感染が確認され、二次感染、三次感染につながって多くの人が麻疹に苦しめられました。その他全国で感染が報告されており、2016年を上回るペースで麻疹患者が増えています。つまり、いつ自分がかかるかもわからないのです。

でもそこで震え上がらなくでも大丈夫。麻疹は予防接種によって防ぐ事ができる病気です。

自分だけでなく、お子さんや周りの人を守るためにも、麻疹のことを正しく知り、流行の可能性に備えましょう。

段階別で見る麻疹の症状

実際に麻疹にかかるとどうなるのでしょうか?始めは咳や鼻水などの症状が出るので風邪と間違えてしまうかもしれません。では具体的にどのような症状が出るのか、治るまでにどのくらいかかるのか、詳しく見ていきましょう。

高熱期(カタル期)2~4日間

麻疹ウィルスに感染すると、10~12日間の潜伏期の後に、38℃前後の発熱で発症します。発熱は2~4日続きますが次のような風邪に似た症状も現れます。

  • 倦怠感
  • 上気道炎症状
    • 鼻水
    • くしゃみ
    • 咽頭痛(のどの痛み)
  • 結膜炎症状
    • 結膜充血(目の充血)
    • 眼脂(目やに)
    • 羞明(しゅうめい/まぶしさを異常に感じる)

これらの症状は次第に強くなっていきます。乳幼児の場合は不機嫌になり、下痢や腹痛などの消化器症状を伴うこともしばしば。

この後全身に発疹が出るのですが、その1~2日前後にコプリック斑が出現します。これは頬粘膜(頬の裏側で奥歯の横の粘膜付近)にできる1mm程度の白い斑点で、麻疹には非常に特徴的なもの。歯茎や唇の内側にできることもありますが、このコプリック斑を確認すると、麻疹と診断することがほとんどです。

両頬の内側の粘膜は赤くなって口の中が痛み、熱の影響もあってほとんど食事ができません。コプリック斑は全身の発疹が出てくると共に次第に消えていきます。

発疹期 3~5日間

カタル期を過ぎると一度熱が下がりますが、半日くらいした後に再び高熱が出ます。多くは39.5℃以上になるとともに、今度は全身に発疹が出始めます

まずは耳後部、頚部(のど、首)、前額部(おでこ)から始まり、顔、胸部、腹部、背中、腰部、上腕、そして3~4日で手足の先まで全身に広がります。発疹は初めは小さな円形や楕円形をしており色も鮮やかな紅色ですが、次第に隆起して丘疹(きゅうしん/1cm以下の小さなブツブツ)となり、一部は隣同士が融合して不規則なまだら状の発疹(斑丘疹)となります。

これは指圧すると退色し、発疹の間には健康な皮膚が一部残っているの特徴。色は次第に暗赤色になって、発疹が出てきた順に退色していき、色素沈着(しみ)となり、やがて数週間で消えていきます。

発疹期は高熱がずっと続き、脱水症状やカタル期にあった上気道炎症状や結膜炎症状がより強く出て、最もつらい時期にあたります。

回復期 

発疹が出てから3~4日、つまり手足まで発疹が広がったころには熱が下がり始め、回復期へと入ります。発疹も黒ずんだシミのようになってやがて消え、咳や鼻水などの症状は軽減していきます。

合併症がなければ発症から7~10日で回復へ向かい、食欲も徐々に出てきて体力も戻り始めますが、回復期が最も合併症を引き起こしやすい時期なので油断は禁物。

免疫力が落ちているために他の感染症にかかると重症になりやすいので注意が必要です。免疫力の回復には1か月程度かかります

とにかく高熱やのどの痛みなど呼吸もできなくなるほどの辛さ…。入院する場合もあり、安静にするしかありません。自分と同じ病気で亡くなった人がいると聞くと、余計に恐ろしいものだという実感がわいてくるのではないでしょうか。

修飾麻疹

予防接種はしたけれど子供の頃1回しか受けていないなど麻疹の免疫はあるけれど不十分な人が感染した場合、麻疹の典型的な症状や経過とは異なる場合もあります。

これを「修飾麻疹」と言います。潜伏期が通常より長いコプリック斑が出ない発熱期間が短い高熱にならない発疹が全身に出ないなど、比較的軽症ですみ、合併症も少なく経過も短いのが特徴です。

感染力も弱いと言われますが、感染源であることには変わりはありません

【麻疹の症状Q&A】その1

子供と大人で症状は変わる?

1990年4月2日以降に生まれた人は、麻疹の予防接種の機会が2回あるため、ワクチン接種率が90%以上となっています。でもそれ以前に生まれた人は7~8割程度しかワクチンを受けていません。意外に予防接種を受けていない人が多いため、流行しやすいのです。
症状や経過は子供も大人もあまり変わりはありません。ただし大人の場合は重症化しやすい傾向があります。約3割が肺炎や肝機能障害などの合併症も引き起こし、麻痺や神経系に障害が残る場合もあり最悪死に至ることもあります。

アッキー
約3割が合併症を引き起こすって意外に多いですね…。麻疹だけでは終わらないなんて恐くなってきました…。
はるこ先生
そうね、合併症といっても中耳炎から肺炎・脳炎までさまざまあるの。どのようなものになる可能性があるのかを次に見てみましょう。

麻疹が原因で起こる合併症

麻疹の合併症には次のようなものがあります。

肺炎

合併症の半数を占め、最も多いのが肺炎です。麻疹肺炎、麻疹脳炎は麻疹の二大死亡原因と言われています。

次の3種類がありますが、人工呼吸器が必要になったり、最悪死に至るとても危険なものです。

ウィルス性肺炎

初期に多く、ウィルスの増殖に伴う免疫反応、炎症反応によって起こります。激しい咳、高熱、倦怠感があります。

細菌性肺炎

発疹期を経過しても熱が下がらない場合、細菌(肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌など)の二次感染による肺炎が考えられます。咳と共に黄色、緑色の痰が出ます。

巨細胞性肺炎

肺で麻疹ウィルスが持続感染して起こり、発疹が出ない場合が多いです。回復の見込みがなく、死亡例も多くあります。

クループ症候群

小児、特に乳幼児にみられます。喉の咽頭(声を出す部位周辺)に炎症が起きて空気の通り道が狭くなることから、声がかすれ乾いた咳が出るのが特徴です。

ケンケンという犬の吠える声に似た感じの咳(犬吠様咳嗽)やオットセイの鳴くような感じの咳と言われます。呼吸困難になる場合もあります。

中耳炎

麻疹になった人のうち、5~15%の人が中耳炎になると言われています。

細菌の二次感染によって中耳(鼓膜の奥の部分)に炎症が起こり、発熱、耳垂れ、難聴などの症状が出ます。

はるこ先生
乳幼児は自分では症状を訴えることができません。耳をよく触っていたり痛そうな感じがないか確認してあげましょう。麻疹が落ち着いても発熱などがある場合は中耳炎の可能性もあります。

気管支炎

気管支が炎症を起こし、咳が出るのが特徴です。麻疹で激しい咳が出ることから起こることがあります。

麻疹でも強い咳が出るので気付かないことも多いですが、ひどくなると肺炎になる場合もあるので注意が必要。麻疹が治ったのに咳がひどい状態が1週間以上続いたり、ゼーゼーと音がする場合などは気管支炎の可能性があります。

心筋炎・心外膜炎

心臓の筋肉に起きる炎症を「心筋炎」、心臓を覆う膜に起きる炎症を「心外膜炎」と言います。麻疹の場合、心臓の検査は普通しませんが、たまたま心電図をとったりレントゲンを撮ったりすると判明することがあります。

麻疹患者の半数以上に一過性の心電図異常がみられるとされていますが、重大な結果になることはあまりないようです。

脳炎

発生頻度は1,000件のうち0.5~1件の割合と決して高くはありませんが、肺炎と共に麻疹の2大死因とされています。

発疹期に入り2日~1週間のうちに発症しやすく、中枢神経系に後遺症(行動異常、痙攣、精神発達遅延、麻痺など)が残る場合が20~40%、致死率は15%と言われています。

亜急性硬化性全脳炎(SSPE)

10万件に1件と非常にまれなケースですが、脳炎でも最も恐ろしい疾患です。

麻疹後、何も異常がなかったのに、7~10年後に急に発症します。初めは歩いたり話したりができなくなり、その知能障害や運動障害が徐々に進行し、平均6~9か月で死に至ることもあります。

【麻疹の症状Q&A】その2

妊娠中に麻疹にかかるとどうなるの?

妊婦さんは特に注意が必要です。妊娠中に麻疹に感染すると、流産、早産の可能性が20~40%になると言われています。最悪、子宮内で胎児が亡くなることも。
母体も重症化することが多く、合併症や死亡する確率が高くなるそうです。これは妊娠によって免疫機能が低下するからだとか。
麻疹の場合は赤ちゃんに奇形や障害が残るという報告はなく、むしろ風疹でそのような場合があるそうです。

3日麻疹と呼ばれる風疹との違いは?

麻疹と風疹の症状はとてもよく似ています。ただし風疹の方が症状が軽く、3日ほどで回復するため「3日麻疹(はしか)」と呼ばれています。
間違えやすいので、子供のころに麻疹にかかったと思っていても実は風疹であった可能性もあります。そのため病院で抗体があるか検査してもらうとよいでしょう。(抗体検査については後程説明します)
見分け方は、風疹の場合は口内にコプリック斑という白いブツブツができますが、風疹の場合は耳の下のリンパ節が腫れます。ただしきちんと医療機関を受診して診断してもらいましょう。

麻疹の感染について

麻疹ウィルスは人から人へと感染し、他の生物は媒介しません。インフルエンザの10倍の感染力と100倍の致死率があると言われ、1人の発症者からインフルエンザでは1~2人に感染させるのに対し、麻疹ウィルスは12~14人に感染させるほど。感染すれば90%以上が発症します。

感染経路

麻疹発症者が他の人に感染させてしまうのは、発熱などの症状が出る1日前(発疹出現の3~5日前)から発疹消失後の4~5日目(解熱後3日くらい)くらいです。最も感染力が強いのは発疹が出る前の時期(カタル期)と言われています。

つまりコプリック斑が出て麻疹と診断される頃には、他の人に感染しているという事になってしまうのです。

空気感染

麻疹は主に空気感染によって広がります。麻疹ウィルスは直径100~250nmほどの大きさで空中を浮遊するので、マスクをしても防ぐことは困難です。同じ空間にいただけでも感染します。普通のマスクでは防げません。

はるこ先生
発症者と同じ新幹線に乗った、同じ病院の待合室にいた、同じイベント会場にいた、空港にいた、感染者が乗ったエレベーターにその人がいなくても利用した、など、たったそれだけで免疫のない人はほぼ間違いなく感染してしまうのです。

飛沫感染

数十メートル離れたところで感染者がくしゃみや咳をすれば、その範囲にいた人は感染の可能性が高くなります。また、2時間ほど経っても飛沫咳が空中を浮遊しているので、その空間にいただけで麻疹になる可能性があります。

接触感染

ウィルスが付いた手で目、口、鼻に触れただけで感染します。家族が感染した場合は、タオルなどの共用は避けましょう。

潜伏期間

ウィルスに感染してもすぐに症状が出るわけではありません。潜伏期間は10~12日間ほどあり、その間は何の症状も出ません。ただし熱が出る3日ほど前から人に感染します

麻疹患者と接触した、同じ空間にいたことが分かったら、すぐに病院へ行きましょう。症状が出る前ならば打つ手があります。

接触後、72時間以内にワクチンを接種、もしくは4~6日以内にガンマグロブリン(免疫グロブリン)という筋肉注射を打てば発症を予防することができます。ただし100%ではないので外出を控えて感染を防ぎ、すぐに病院を受診できるようにしましょう。

アッキー
予防接種を受けていれば年数が経って免疫が低下していても、万が一麻疹に感染した時の症状は軽くてすむと聞きましたが…。
はるこ先生
そうね、でも感染源であることには変わりはないので、症状が軽いからといって出歩くのは厳禁!
予防接種もきちんと2度受けることが大事なの。次に麻疹の予防接種について詳しく見ていきましょう。

麻疹の予防接種について

麻疹は予防接種を受けて免疫を獲得していれば防げます。ワクチンを接種することは唯一有効な予防方法です。

最も麻疹に感染しやすいのは、今まで麻疹にかかったことがなく、なおかつワクチンの接種が一度もないという人。各自治体が予防接種法の対象疾患として予防接種を実施しているので、ぜひ早目にワクチンの接種をしましょう。

予防接種を受ける方法

予防接種には、定期接種任意接種があります。それぞれ受ける時期や費用が違ってきます。

定期接種

以前は麻疹と風疹のワクチンは別々で、しかも1回のみでしたが、2006年6月より麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)の2回接種が始まりました。

なぜ2回接種する必要があるかというと、1度目で麻疹の免疫ができる割合(抗体陽転率)は95%であり、残りの5%は発症する可能性が出てしまいます2回接種することにより約99%の人が抗体を保有できるとともに、接種後何年か経って免疫が低下した人にも免疫を補強する事ができるのです。

日本では定期接種として下記の時期に通常無料で受けられます。

  • 第一期:生後12か月以上24か月未満
  • 第二期:5歳以上7歳未満で小学校入学前の1年間

1歳未満は予防接種は受けられないの?

6か月未満の場合は母親からもらった免疫があるのと、1歳未満の場合は抗体の定着率が低いことから定期接種は1歳からとされています。
ただし家族や利用している施設で麻疹発症者がいる、などの場合は医師と相談のうえ、任意でワクチンを接種することが可能です。しかし母親からもらった免疫が残っている影響で、ワクチンの効果が十分でない場合もあるので、必ず上記の定期接種の時期に再度受ける必要があります。

任意接種

定期接種以外の時期に受けると任意接種となります

現在は2度の予防接種が義務化されていますが、そうなる前の世代はワクチン接種を受けていない、もしくは一度しか受けていない可能性が高くなります。一度では免疫が不十分であることがあり、さらに年々弱くなっている可能性が高くなります。

1度の接種で作られた免疫機能はウィルスに再度接触することによって免疫力が強化されます(ブースター効果)。つまり2度接種することによりさらに強い抗体が作られ、その持続期間も1回接種の時より長くなるのです。

麻疹の予防接種を受けていない人はもちろん、一度しか受けていない人は任意接種をおススメします。

年代別に麻疹のワクチン接種状況をまとめると以下のようになります。

1990年4月2日以降生まれ(~27歳)
  • 2回個別接種を受けている
  • 2008年から5年間限定で中1と高3対象に2回目の接種を受けることができた
  • 2006年6月より麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)の2回接種が始まる
1977年4月2日~1990年4月1生まれ(27~40歳)
  • 個別接種1回
  • 1回のみの接種なので免疫が弱まり感染する確率が高い
1977年4月1日以前(40歳~)
  • 接種なし
  • 子供時代に麻疹に感染し、免疫があると思われる

ただし、2回接種しているはずの年代でも、忘れていたり、当日風邪をひいたりして受けていなかったりする場合があり100%ではありません。

また、過去に麻疹にかかったのが確かならば十分な抗体を持っているので接種の必要はありませんが、麻疹だと思い込んでいたら実は他の疾患だったという場合も少なくありません。

どちらの場合も母子手帳で確認するか、後ほど説明する抗体検査で調べることもできます。もしくは曖昧な場合には、たとえ以前麻疹にかかっていたとしても、予防接種を受けても問題はありません。

妊婦さんは予防接種は受けられる?

予防接種は妊娠中は基本的に受けられません。
さらに麻疹の予防接種は現在風疹の混合ワクチン(MRワクチン)が使われており、風疹成分を含むワクチンを接種後、2か月は妊娠してはいけないとされています。
これは抗体ができるまでに約2か月かかるので、その前に妊娠すると胎児に感染する恐れがあるからです。
妊娠を知らずに予防接種を受けて赤ちゃんに影響があった例はないようです。
妊娠を検討している場合は早目に予防接種を受け、妊娠後の不安を減らしましょう。

アッキー
さっき説明があったように、同じ空間にいただけで麻疹に感染してしまうんですよね。人からうつされて死ぬかもしれない病気になるのはやりきれませんね…。
はるこ先生
本当にそうよね。どこに怒りをぶつけていいのか…。そうならないためにもきちんと2度の予防接種を受けましょう!

おおよその値段

定期接種であれば、無料で受けられます。ただし任意接種になると全額自己負担となり、医療機関によってさまざまな料金が設定されているようです。

ワクチンは麻疹単独ワクチンと麻疹風疹混合ワクチンがあります。単独ワクチンの場合は5,000~8,000円混合ワクチンは8,000~10,000円くらいのことが多いようです。

自治体によっては、先天性風疹症候群の予防のために麻疹風疹混合ワクチンの費用を負担してくれる場合もあります。風疹と麻疹の両方が予防できるのですが、対象者や補助内容は自治体によって異なるので確認してみるとよいでしょう。

麻疹ワクチンの副反応

接種直後には注射した部分が赤く腫れたりする場合がありますが、だいたい3日くらいでおさまります。もしそれ以上続く場合はすぐに医療機関を受診しましょう。

また、1度目の接種後、まれに以下のような副反応が出る場合があります。

  • 2週間以内に発熱する…約13%
  • 1週間前後に発疹が出る…数%
  • じんましん…約3%
  • 発熱に伴う痙攣…約0.3%

ほとんどは症状が軽く、数日でおさまりますが、3日以上続く場合や症状が重い場合は病院を受診しましょう。

2度目になると発熱や発疹の割合は極めて低くなるそうです。

卵アレルギーがあるけれど接種しても大丈夫?

麻疹ワクチンは卵アレルギーの人でも接種可能とされています。ワクチンが鶏の胚芽細胞を用いており、卵そのものを使っているわけではないためです。
ただし重度のアレルギーや他の成分によりアレルギー反応が出る場合もあるので心配な人は必ず医師に相談してください。

麻疹の抗体検査について

抗体はウィルスや細菌が入ってきたときに抵抗して戦い、身体を守る働きのある物質です。

免疫グロブリン(Ig)というたんぱく質で、身体に異物が入ってくるとその抗原(ウィルス)と結合して異物を排除します。この仕組みを免疫と言います。

麻疹の抗体には2種類あります。

過去に一度麻疹にかかり、抗体を持っている一度麻疹ウィルスが体に入ると細胞がそれを記憶します。つまり麻疹に対する抗体ができあがっているので、もう一度麻疹ウィルスが侵入してきてもこの抗体によって守られるのです。
麻疹にかかると終生免疫で、一生免疫が持続して再びかかることはないと言われるのはこのためです。
予防接種により抗体を持っている一度感染すると抗体が作られる免疫システムを応用したもので、ワクチンによって抗体をつくらせることにより、免疫を得ることができます。

抗体検査とは?

確実に麻疹にかかっているか定かではない場合、予防接種も受けたかわからない、もしくは一度しか受けていない気がするという場合は、自分が麻疹に対する抗体を持っているのか検査することができます。これが抗体検査です。

抗体検査を受けた方が良い人

上記のように、予防接種を受ける前に自分が麻疹にかかったことがあるのか、予防接種をしたのかを確認する意味で抗体検査をすることは有効です。しかし費用がかかるので、抗体検査をせずに予防接種を受けても問題ありません。

妊娠している場合は予防接種を受けることはできませんが、抗体検査をして抗体が少ないとわかった場合は、必要な対策をとることができます

例えば家族が麻疹にかかった場合にそれが妊婦さんにうつると大変です。家族や職場など周りで予防接種をしていない人がいたら感染を防ぐために早目に接種してもらいましょう。また、人が多く集まる場所への外出はなるべく避けましょう。

そして出産後はできるだけ早めに予防接種することをおススメします。

抗体検査の方法

抗体検査は血液検査のみです。なので採血してくれる医療機関であればどこでも可能ですが、内科、小児科、産婦人科などが一般的です。採血をするだけなので30分もかからずに終わり、検査結果は1~2週間後に判明します。

国立感染症研究所のガイドラインで推奨されているのは、精度が高く検査結果が早く出るEIA/IgG法PA法です。もう一つNT法がありますが、手間がかかるのと結果が出るまでに時間がかかるのであまり行われていません。

EIA・IgG法(酵素免疫反応)

抗体に含まれる物質であるIgGという免疫グロブリンの抗体価を調べます。

PA法(ゼラチン粒子凝集法)

麻疹ウィルスに血液を混ぜることによって凝集する(固まる)かどうかを確認する検査です。麻疹の抗体に反応するゼラチン粒子に血液を加え、ゼラチンが凝集すれば抗体が存在するという事になります。

NT法

麻疹ウィルスを中和する抗体があるかを識別しますが、手間がかかり、精度も少し落ちるのであまり行われていません。

結果の見方

抗体が十分にないとされる数値は以下の通りです。

検査方法抗体が陰性

免疫がない

十分な免疫がない(±~+)

免疫がなくなっていく恐れがある

十分な免疫あり(+)結果が出るまでの期間
EIA・IgG法2.0未満2.0~15.916.0以上3~5日
PA法16倍未満16、32、64、128倍256倍以上5~7日
NT法4倍未満4倍8倍以上10日前後

抗体が陰性の場合はもちろん、十分な抗体がない場合もワクチンを接種した方が良いでしょう。ただし基準は病院によっても異なり、明確な接種基準は確立されていないようです。

アッキー
どの検査も即日には結果が分からないんですね。
はるこ先生
だいたい3日~10日かかってしまうわね。これは採血は医療機関が行うけれど、実際の検査は特定の機関に血液を送って検査することが多いためなの。

費用について

麻疹と思われる症状が出て、医師が必要と判断した場合は保険が適用されますが、そうでない場合は自費となります。医療機関や検査方法によって金額が異なるので、事前に確認しておくとよいでしょう。大体5,000円前後のことが多いようです。

抗体検査を受けてからワクチンを接種すると費用がかかってしまうので、不安な場合は検査をせずに予防接種を受ける方が安くすみます。過去に麻疹にかかっていたり、一度予防接種を受けていて十分に抗体があったとしても、ワクチンを接種する事に問題はありません

麻疹にかかった時の治療方法

麻疹に、治療薬、特効薬、治療法はありません。ですが、早目に医療機関で診察を受け、適切に対処することが重要です。

病院を受診するときは必ず麻疹の可能性があることを事前に連絡し、隔離受診できるようにしましょう。非常に感染力が強いので、待合室にいる人、医者、看護婦などすべての人に感染することを防がなければなりません。

もちろん学校、会社にも行くことはできません。発疹が現われる前の時期が一番感染力が強いとされていますが、発疹が消えた後4日(解熱後3日)くらいまでは周囲にうつしてしまう可能性があります。

学校保健安全法によると麻疹は第2種感染症に分類されており、「解熱後3日を経過するまで」出席停止となります。社会人も同様に出社を控え、外出もやめましょう。

病院で症状を和らげる薬をもらう

治療薬がないならば病院ではどんな治療が行われるのでしょうか。

麻疹の治療は症状に合わせた対症療法が行われます。高熱の場合は解熱鎮痛剤、咳には咳を抑える鎮咳薬、痰を切りやすくする去痰薬、抗ヒスタミン薬などが処方されるので、つらい症状を和らげてくれます。

発症したら安静が第一。熱がつらい場合は氷枕で冷やしたり、首の付け根やわきの下など動脈が通っているところを冷やすとさらに楽になるでしょう。咳がひどいときは加湿をしたり、悪寒がする場合はしっかりと保温しましょう。

合併症などへの抗菌剤の投与が行われる場合もあります。抗生物質で下痢になる人もいますが、医師によっては一緒に整腸剤や下痢止めを処方してくれる場合もあるので、医師の指示に従い、勝手に飲むのを止めたりしないようにしましょう。

脱水症状にならないよう気を付ける

発疹期には39℃以上の高熱となる場合があります。熱が上がるとそれを抑えるために大量の汗をかき、体内の水分は体外へ放出されるため、水分補給がとても重要です。

乳幼児は自分で水がほしいと伝えられません。一度にたくさん与えるのではなく、こまめに少量ずつ水分補給をさせ、脱水症状になることを防ぎましょう。ただし口に入れても吐き出してしまう場合もよくあります。その場合は点滴によって水分と栄養を補給することも可能なので、医師に相談してみましょう。

アッキー
「恋ははしかのようなもの。誰でも一度は経験する」とか、昔は「はしか(麻疹)になった方が免疫がつく」と言いませんでしたっけ?
はるこ先生
とんでもない、アッキー!まだそんなことを言っているの?!
「はしかのようなもの」とは大人になってからかかると厄介だ、ということね。まあ恋みたいに甘いもんじゃないけどね。
麻疹は先ほど説明したように重症化したり合併症によって後遺症が残ったり、最悪死亡の可能性もある恐い病気よ!
感染力も強いのでたくさんの人にそういった危険性を与えるのと同じことにもなるの。
費用が数千円から場合によっては10,000円ほどかかるけれど、生死に関わることなので予防接種をきちんと受けておくことを断然おススメします!

再流行の兆しを見せている麻疹感染例

麻疹は、

  • 症状が出る前から感染源となる
  • コプリック斑などが出るまで麻疹の診断がつきにくい
  • 初めは風邪と似たような症状なので麻疹と思わずに行動してしまう
  • 通常のマスクでは防げず、1人から12~14人程度にまで感染させてしまうほど感染力が強い

などの事から1人が感染するとあっという間に広がってしまいます。

日本ではWHOより麻疹の排除国と認定されており、国内由来の感染はありませんが、麻疹患者がゼロになったわけではありません。海外から持ち込まれたウィルスによる感染や流行がたびたび見られ、2017年に入ってからも再流行の兆しを見せているのです。

多くの感染者を出した2つの例を紹介します。

三重県の工場の例

2017年2月、三重県多気郡の工場で集団発生がありました。詳細は以下のようになっています。

2月2日に工場勤務の10代の女性が麻疹の疑いがあると松坂保険所に連絡がありました。その女性は1月28日以降に発熱、発疹の症状があったため、2月2日に医療機関を受診したところ、感染が判明したそうです。

保健所が調査したところ、さらに工場の20~40代の男女9人、松坂市内の医療機関に勤務する30代の女性1人の感染が確認されました。つまり10名を超す集団感染となったのです。医療機関に勤務する女性と工場の感染者との関連は分かっていないようです。

内訳は、

  • ​20代男性3名、女性2名
  • 30代男性3名、女性1名
  • 40代男性1名

となっています。

その後3月13日の時点で、この集団感染による患者数は18人、松坂市内の医療機関(2施設)で計3人と報告されています。2月21日以降は新たな患者の報告はないとしています。

山形県の自動車教習所の例

最初に感染した横浜市在住の20代男性は2月26日までインドネシアのバリ島に滞在し、帰国後の3月2日に横浜市から新幹線で山形を訪れ、置賜地方の自動車教習所に通っていました。その後9日に麻疹と診断を受けています。

この教習所には合宿参加者が各地から集まっており、同時期に通っていた山形県内の男性3人、宮城の女性1人、埼玉の女性1人、そして横浜の男性が宿泊していた施設の40代男性従業員も感染が確認されました。

宮城と埼玉の女性は帰宅後に発症しており、感染者が利用した新幹線などの公共交通機関の乗車時刻などを公表して注意をよびかけられました。

それからまもなく同時期に教習所に通っていた人や教官ら14人も感染を確認。横浜の男性が宿泊していたホテルの従業員や宿泊者にも拡大し、三次感染の23人を含めると4月5日の時点で感染者は53人にも及んでいます。

ワクチンを2回接種しているとされる10代や、幼少期に麻疹にかかって免疫があると思われる50~60代でも感染しています。一番多いのは免疫を持たない人が比較的多いとされる20~30代が半数以上だったようです。

4月18日以降は新たな感染者が出ておらず、5月17日に山形県は麻疹の流行は終息したと発表しています。それでも結局、発症者は数十人にも及び感染力の強さを思い知らされる事例です。


はるこ先生
海外へ行く場合は麻疹の予防接種をしているか確認し、2回受けていない場合は予防接種を受け、自分が感染する事を防ぐとともに国内での感染がひろがることを防ぎましょう!

麻疹になる前に予防接種で対策を

もう一度言います。麻疹は死ぬこともある恐ろしい病気です。そのうえ感染力がとても強く、感染者と同じ乗り物、病院、コンサート会場、エレベーターにいただけでうつってしまうやっかいなもの。そんなとんでもないものを人からうつされて、万が一重症化したら馬鹿馬鹿しいどころではすみません。

新型インフルエンザやSARSのようにワクチンすらない病気ではなく、予防接種によってほぼ完全に防げるのが麻疹です。​

一度麻疹にかかっているかはっきりしない場合、また過去に予防接種を受けているか確認できない場合は、一刻も早くきちんとワクチンを接種し、麻疹の感染を予防しましょう!​