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クロスポリマーとは?お肌に悪い成分が含まれているってホント?

こんにちは!水野はるこです。みなさんにはそれぞれお肌や髪の悩みがあると思います。例えば乾燥、毛穴詰まり、肌荒れ、ギシギシの髪、人によっていろいろですね。みなさんは「クロスポリマー」という成分をご存知ですか?多くの化粧品やヘアケア剤に含まれているんですよ。とろみのついた保湿化粧水やトリートメントなど、お肌や髪をツルツルな手触りにして保湿するためによく使われる成分なんです。クロスポリマーについては間違った情報も流れているので、正しく知って使うことが大事です。
そもそもクロスポリマーとは?


「ポリマー」とは物質の分子構造を指すのであり、ポリマーという成分が存在するのではありません。みなさんがご存知のヒアルロン酸やコラーゲンもポリマーの一種なんですよ。一言でポリマーといっても、たくさんのポリマーがあり、それぞれに性質が違っています。〇〇ポリマー、△△ポリマーというように様々なポリマーがあるのです。
高分子のかたまり、といった感じでしょうか。ポリマーには明確な定義がないとされていて、高分子の化合物のことをポリマーと呼んでいるのですね。
頭に「合成」とついていることもあり、合成ポリマーと聞くと有害な添加物なのかな?と思われるかもしれません。実際、合成ポリマーはお肌に悪いので配合されていない商品を選びましょう、などと言われることもあります。合成と言われるとお肌に悪いのかと思ってしまいますよね。ですが、コラーゲンやセルロースもポリマーの一種なのですから、「ポリマーは化学的に合成された危険な物質である」とは限らないわけです。


クロスポリマーはシリコンの一種
ジメチコン、ビニルジメチコン、メチコンといったシリコンの一種を総じて「クロスポリマー」と呼んでいます。クロスポリマーはシリコン樹脂の粉末です。お肌をなめらかにする、つややかにするために化粧品によく使われています。
シリコン油には水を弾く性質があり、耐水性を求める化粧品に使われます。シリコン油には様々な種類があり、組み合わせるとポリマーになります。これがジメチコンやメチコンなどと化粧品に表示されているクロスポリマーなのです。
クロスポリマーの成分
化粧品やヘアケア製品によく使われているクロスポリマーの成分は、どのようなものがあるでしょうか。
ジメチコン、ビニルジメチコン、メチコン
シリコン油はクロスポリマーを形成しています。代表的なものにジメチコン、ビニルジメチコン、メチコンなどがあります。
クロスポリマー成分の特徴とは?
- 水や油に強い
- 無臭、無色の液体
- 撥水性が高い
- 薄くなめらかな膜を作る
- 熱、水、光などによる影響を受けにくく安定性が高い
クロスポリマーは耐水性のある薄い膜を作り、表面をすべすべ、なめらかにする性質があります。そのため、シャンプーやコンディショナー、トリートメントなどのヘアケア製品によく使われています。また、表面に薄い膜を作ってなめらかにするので、お肌に直接つけるような化粧品にも使われています。汗や水をはじいて滑りを良くする性質があるので、ファンデーションや日焼け止めなどに使われます。
ジメチコンは別名デカメチルテトラシロキサン、メチルポリシロキサンとも呼ばれています。


クロスポリマーの持つ効果
クロスポリマーを化粧品などに使うと、どんなメリットがあるのでしょうか。特性を利用した様々な効果があります。
撥水性が高く、お肌を保護する
クロスポリマーは水や汗に強い特徴があります。ファンデーションに配合すると、汗に強いので化粧崩れを防ぐことができます。サラッとしたお肌の感触を長持ちさせるタイプの化粧品によく使われます。日焼け止めに配合すると、お肌をガードして落ちにくする効果があります。また、クロスポリマーがお肌に薄い膜を作って保護するので、お肌の水分蒸発を防いで保湿効果も期待できます。そのため、化粧水などの基礎化粧品にもよく使われています。
テカリを防止する
クロスポリマーは余分な皮脂を吸い、お肌をサラサラに保つ効果があるので、テカリ防止になります。油分と粉を合わせる作用もあるため、フェイスパウダーに配合するとテカリ防止効果のお粉になりますね。
滑りが良くなる
クロスポリマーには滑りを良くする効果があり、ベタベタ感がなく、サラサラな感触になります。そのため、お肌をサラサラに保つ基礎化粧品に使われたり、ヘアケア製品にもよく使われるのです。クロスポリマーが髪をコーティングして、なめらかでサラサラな手触りになります。シャンプーやコンディショナー、トリートメント、ヘアオイルなどに配合されます。
ポリマーは肌を覆って皮膚呼吸できなくしてしまうので、使うべきではないと聞いたことがありますが、本当ですか?
ジメチコンは構造が網目状になっているので、皮膚呼吸を妨げないということがわかっています。
クロスポリマーの持つ毒性
クロスポリマーにはメリットが多いことをご紹介しましたが、デメリットはないのでしょうか?なんだか悪いものじゃないの?と心配になり、クロスポリマー入りの商品を避ける人もいます。どんな疑問や心配があるでしょうか。
- 合成のものは肌に良くないと思う
- ビニールの膜で肌にフタをしているようで気持ちが悪い
- 毛穴が詰まるのではないか?
- ニキビの元になりそうな気がする
- 敏感肌なので刺激にならないか心配
- 使い続けると肌が弱くなりそう
クロスポリマーには被膜性があるので、お肌がふさがれているような感覚があるかもしれません。ただ、ジメチコンの特徴をお話ししたように、肌をすっかり覆っているわけではなく網目状に膜を作っているので、お肌を完全にふさいでいるのではありません。合成ポリマーであっても安定した形で刺激が少なく、特に毒性やアレルギーの心配はないとされています。
クロスポリマーは合成だから危険?
クロスポリマーは合成だから使わない方がよいという意見があります。では、自然のものなら安心して使えるのでしょうか?自然素材の中にも刺激の強いものがあります。人によってアレルギー反応が出ることもあります。自然=安全とは限らないでしょう。刺激の強い自然素材より、合成であっても安定した刺激の低いものを少量使って化粧品を安定させた方が良いと思うのです。


クロスポリマーはお肌に膜を作るから危険?
クロスポリマーはお肌に薄い保護膜を作って被膜感がある、皮膚呼吸ができなくなる、お肌の常在菌が死滅するので良くないという説もあります。クロスポリマーの性質として、お肌に薄い膜を作るのは本当ですが、先にお話ししたように網目状の膜なので、皮膚呼吸を妨げることはありません。
常在菌とは、人のお肌の表面にいる菌で、菌やホコリなどからお肌を守ってくれています。お肌にはいつも皮脂や汗などが分泌されて常在菌のエサになっています。ですから、クロスポリマーを使うとエサがなくなって常在菌が死滅するという説には確かな根拠はありません。
クロスポリマー入り化粧品で気をつけること
クロスポリマー入り化粧品を使う場合に気をつけていただきたいことがあります。クロスポリマーはお肌に薄い保護膜を作ります。1日の終わりには、丁寧にクレンジングや洗顔をして膜が残らないように洗い流しましょう。特性上、少々落ちにくいことがあります。クレンジングをきちんとしてくださいね。
夜は疲れているので簡単に洗顔だけで済ませたいのですが、良くないのでしょうか?
クロスポリマーはお肌をコーティングするものなので、石鹸だけでは落ちにくいです。クレンジングオイルなどを使って丁寧に落としてあげてね。

クロスポリマーとコポリマーの違い
クロスポリマーとコポリマーの形の違い
コポリマーはクロスポリマーと同じく、化粧品などに配合されている成分です。クロスポリマーと、コポリマーの違いをざっくり言うと、こうなります。
「クロスポリマー」
格子状の分子構造を持っている高分子化合物
「コポリマー」
単量体と単量体を化学反応で共重合させた高分子化合物
例えば、シリコンであるジメチコンとビニルジメチコンを合わせたものがクロスポリマーです。コポリマーの中にはジメチコンやビニルジメチコンが入ったものがありますが、シリコンとは関係のないものもあるのです。
コポリマーの構成成分
コポリマーにはいろいろな種類がありますが、よくある成分が「アクリル酸アルキル」です。原料は樹脂で、特に毒性はないとされています。他の成分を安定させたり、表面に膜を作る働きがあります。化粧品にとろみをつけたり、撥水効果もあるなど、マルチに活躍する成分なのです。コポリマーはどのような表示で化粧品に配合されているのか、幾つか見てみましょう。
名称(成分) | 別名 | 使用目的 |
コポリマーK (アクリル酸アルキル、アクリルアミド) | アクリル酸、アクリルアミド アクリル酸エチル共重合体カリウム塩液 | ヘアケア剤 皮膜形成剤 |
コポリマー (スチレン、アクリル酸アルキル) | アクリル酸、アクリル酸2-エチルヘキシル スチレン共重合体エマルション | 皮膜形成剤 |
コポリマーNa (スチレン、アクリル酸アルキル) | アクリル酸アルキル スチレン共重合体エマルション | 親水性増粘剤 皮膜形成剤 |
この他にも、化粧品には様々な形のコポリマーが配合されています。パッケージの成分表示にこのような成分があれば、コポリマーが入っているのだな、とわかります。
クロスポリマーが含まれていない化粧品はあるの?
オーガニック製品はクロスポリマーが含まれていない?
クロスポリマーを使った化粧品は多いです。配合されていない化粧品もありますが、かなり限られるでしょう。オーガニックを謳ったブランドであっても、クロスポリマーを配合していることがあります。完全な無添加化粧品を作ることは難しいのです。オーガニックと書かれていても、多少のオーガニック素材を配合していれば「オーガニック」と書けるので、実は合成成分も含まれていることは多いのです。クロスポリマーを使っていない化粧品を探す場合は「シリコンフリー」「ノンシリコン」と書かれたもので、成分表示をよく見て確かめましょう。
パックスナチュロン
太陽油脂「パックスナチュロンシャンプー」
成分:水、カリ石鹸素地、グリセリン、トコフェロール、香料、クエン酸

こちらの製品にはクロスポリマーは含まれていません。ただ、石鹸シャンプーは合う人と合わない人がいますので、使ってみて合わないと感じたら使用を中止しましょう。
HABA スクワクレンジング
HABA スクワクレンジング
成分:水、BG、エチルヘキサン酸セチル、スクワラン、パルミチン酸エチルヘキシル、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル、ペンタイソステアリン酸ポリグリセル−10、イソステアリン酸ポリグリセル-6、デキストリン、トリグリセリル、ムラサキ根エキス、ハイビスカス花エキス

こちらもクロスポリマーが配合されていませんが、合成界面活性剤は含まれています。気にされる方は要注意です。
クロスポリマーは化粧品には必要な成分
クロスポリマーは化粧品の品質を安定させ、お肌を保護したり滑りを良くするなどメリットが多いです。合成といっても腐らず毒性もないとされていますので、うまく付き合えばお肌や髪を美しくする効果があるでしょう。大事なことは、しっかり洗い流してあげることです。クロスポリマーは高分子で皮膚の中に侵入することはありません。悪いものがお肌に入り込むようなことはないのです。表面に成分が残らないようにクレンジングしてあげればOKです。

